食用植物油脂、植物油脂、植物油の違い

食品の知識

食用植物油脂、植物油脂、植物油など、同じ植物の油であるように思えますが、これらに違いはあるのかどうか?を解説します。

言い方が違うだけで同じ意味

食用植物油脂、植物油脂、植物油が食品の一括表示の原材料名欄に記載されている場合、これらは植物からとった油脂の名称であり、ほぼ同じ意味です。

まず、食用植物油脂と植物油脂は同じ意味であり、食用が付いているか付いていないかだけの違いです。食用を付ける理由はのちほど説明します。

次に、油脂には常温のときに液体のものと固体のものがありますが、植物油は常温のときに液体のものだけを指しています。「油」は常温のときに液体のもの、「脂」は常温のときに固体のものです。

植物油には、「油脂」という文字の「油」のほうだけが使われていますね。

”食用”は なぜ付けられる?

植物からとった油には、JAS法(日本農林規格)で表示方法が定められており、食用大豆油、食用なたね油、食用オリーブ油といった表記方法が定められています。

これらは食品の一括表示の「名称」の欄に記載する場合の規定です。「名称」とは食品の表示に記載されるもので、その内容を表す一般的なものを表示することになっています。

参考:農林水産省”食用植物油脂の日本農林規格”

一般消費者向けに販売されている家庭用の油を見ると、名称の欄には「食用なたね油」と記載されているものがありました。

一括表示の「名称」の欄の下には、「原材料名」の欄があります。

原材料名の欄に記載する場合は、JASなどで定められた名称でもよいですが、一般的な名称で表示してよいことになっています。植物油脂や植物性油脂は、どちらも一般的に通じる名称です。

原材料名

1 使用した原材料を次に定めるところにより表示する。
一 原材料に占める重量の割合の高いものから順に、その最も一般的な名称をもって表示する。

参考:食品表示基準(平成二十七年内閣府令第十号)

油脂は、植物油、植物油脂と表示してよいことになっています。

3 1及び2に定める表示の際には、次の表の上欄に掲げる区分に該当する原材料にあっては、同表の下欄に掲げる名称をもって表示することができる。

食用油脂

植物油、植物脂若しくは植物油脂、動物油、動物脂若しくは動物油脂又は加工油、加工脂若しくは加工油脂

参考:食品表示基準(平成二十七年内閣府令第十号)

植物油脂と植物油の違い

常温において液体のものが油で、固体のものが脂です。

スーパーで売られている油は、なたね油や大豆油が多いですが、液状になっていますね。

英語だと、油はoil、脂はfatです。

植物脂はあまり目にしません。

固体の状態の油脂類というと、植物油脂を原材料にしたマーガリンやショートニングがありますが、これらは加工油脂と呼ばれます。

豚脂(ラード)、牛脂などの動物の油脂は固体ですね。

なたね油や大豆油など原材料名を書かない理由

植物油脂といっても原材料となる植物は、なたね油、大豆油、とうもろこし油、オリーブ油、ごま油などたくさんあります。

植物油脂や植物油という言葉からは、どんな原材料を使用しているのかはわかりません。

その食品中にいくつかの植物油脂が含まれていて、それらを植物油脂とまとめて表示しているかもしれません。

また、植物油脂を異なる植物油脂に切り替えたときに、表示内容の変更をしなくても済むといった事情もあるかもしれません。

表示の変更をするのは、とても時間がかかる大変な作業です。パッケージを変更したり、販売先への案内が必要になってきます。

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